タカシサトウ

かがみの孤城のタカシサトウのネタバレレビュー・内容・結末

かがみの孤城(2022年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

 クラスの他の子からのいじめが発端で、不登校になっていたこころ(當真あみ)が、鏡に吸い込まれ、たどり着いた城で、他の6人の中学生と共に“オオカミさま(芦田愛菜)”という女の子から、隠された鍵を見つければ、どんな願いでも叶えてやろうと言われて…、という話。

 こころが、自分が酷いいじめを受けていたことを話せたのは、同じ不登校である、城にいた中学生であり、同じ辛さを持っている中学生同士だから話やすかった為もあるだろうけれど、やはり、話を聞いて貰ってなぐさめてもらうことが、どんなにか癒されるということだろう。

 また、リオン(北村匠海)と病気で生きられなかった姉ミオ(美山加恋)との繋がりと、ラストで実は…、というエピソードは本当に良かったし、よくよく考えられていると思った。ファンタジーの中で、リオンは、姉と再会し、心の中で、姉との約束を果たしたのかもしれない。

 こころにとっては、城での体験が、自分を立て直す場所であったし、そこがあったから、フリースクールにも行けるようになったのだろうと思う。こういうファンタジーの世界が、その人の回復に繋がるのでは。

 アキ(吉柳咲良)の虐待を受けそうになるエピソードも酷いが、大事なエピソードだろう。

 観終わって、少し残念だったのは、中学生たちが、少し話せば、7年以上も時代が違うのに、そのおかしさに気付かない筈はないだろうということ。また、不登校の子がクラスに何にもいる時代に、あんな気持ちが分からない、担任(藤森慎吾)が居るのかなと。

 そして、こころの不登校は、本当に酷いいじめによるものが大きく、はっきりとさせてはいるが、もっと分かりにくく、様々な要因が重なって不登校になっている子が多いのに、そういうことも描いても良かったのに、と思った。

 小説(未読)だと、もっと丁寧に描かれているのかもしれない。

 でも、真面目な、辛い立場の子どもの側に立った話だと思った(2024.4.27)。