回想シーンでご飯3杯いける

かがみの孤城の回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

かがみの孤城(2022年製作の映画)
3.9
辻村深月による、不登校を題材にした青春群像劇が原作。小説を映像化する場合、本作のようにSF的な要素が入ってくると、どうしてもCGを使う必要が出てきて、実写だとチープな感じになってしまう場合が多い。本作ではアニメで映像化され、冒頭こそ地味な印象をもってしまうものの、奇をてらわないシンプルな作りもあって、中盤以降は作品世界にどっぷり浸る事が出来る。

とは言っても、ページ数が多く細かい描写が特徴の辻村深月作品という事もあり、原作を読んだ人であれば、物足りなさを感じる部分もあるのではないだろうか。

登場する少年少女の服装が、ステレオタイプでイオンモールで売っていそうな服ばかりに見えたのだが、最後まで見て、それは映像化する上で仕方が無かった事なのだと納得した。それまで散りばめられていた謎が繋がっていく終盤に感じる何とも言えない優しい気持ちになる。

監督は劇場版クレしん作品の他、本作と似たテーマを持つ森絵都の小説「カラフル」のアニメ化を手がけた原恵一。それら作品と同様に、十代から大人まで楽しめる作品になっている。