花火

ある惑星の散文の花火のネタバレレビュー・内容・結末

ある惑星の散文(2018年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

右へ移動するカメラが建物を捉え、それが途切れるとフッと画面いっぱいに港湾地帯の景色が広がりハッとする。風景や空間に対する感覚では、走る車の後方に据えられたカメラが写し出す雨の街も心に残る。ルイと芽衣子が別れるシーンも、画面手前を歩くルイと奥を歩く芽衣子、その二人の間に横たわるフェンスの立った駐車場で区切られた空間が上手く決まっている。都合4回現れるスカイプでの通話も、1回目は直接画面が写り、2回目は鏡の反射として、3回目は画面が写らず4回目に至ってはまず繋がらず通話が始まっても手前の鍋や立ち上がってフレームから外れるなど画面どころかPCそのものが見えなくなる、この細やかさが良い。ちなみに2回目の通話で、相手が作業に集中していてこちらが手を振ってもモニター越しの相手は気づかないという画面が凄まじい。恋人がいよいよ家に帰ってくるときの、迎える女性が窓辺に佇む姿が、カーテンも部屋干しの洗濯物も風に揺れていてどこか幽玄とした雰囲気を漂わせる。その後の廊下での別れも、ワンテイクで向かい合う二人を真横から捉えた画面と、奥に沈みゆく太陽と工事や車両の音に子供の遊び声と、景色に溶けていく人物の調和が印象的。兄が運転して芽衣子が後ろに乗るフラフラとした自転車も忘れがたい。
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