kojikoji

シャイロックの子供たちのkojikojiのレビュー・感想・評価

シャイロックの子供たち(2023年製作の映画)
3.9
No.1677 2023年 監督: 本木克英。「空飛ぶタイヤ」の監督さんだ。
楽しませてくれる。
さすが、池井戸潤。
銀行の話をよくもまあ、こんないろんな形にして、金融に関わったことがある人間にはあるあるの話が沢山出てきて、それがまた面白い。もちろんかなりデフォルメされてはいるのだけど。
この池井戸潤って何年行員の経験があるのだろう。こんなそれらしい話を沢山知ってるもんだと感心する。よっぽど銀行の裏側を見て来たんだろう。

 舞台は東京第一銀行の小さな支店。東京第一銀行と言っても、残念ながら花咲舞は出てこない🤭

 ある日、100万円の紛失事件が起きる。持ち物検査でバッグの中からその現金の剥がされた帯(おび)が出て来た愛理(上戸彩)が当然犯人として疑われる。愛理の上司の西木(阿部サダヲ)は愛理が犯人ではないと確信し、同僚の田端(玉森裕太)達とともに、事件の真相を探る。 ところが、この事件の裏には10億円の融資事件が絡んでいた。

 前半はエリート行員の滝野(佐藤隆太)が過去の融資がらみで脅迫され、事件に巻き込まれていく経過が中心なので、阿部サダヲの軽妙な演技もなんだかかき消されて、ストーリー全体が暗くて、あまり楽しくない。
しかし真相が見えて来てからは、一気に阿部サダヲ風の半沢直樹の世界に突入して面白くなる。ここまでは我慢した観てほしい。
 前半の色々な事が「なるほどその伏線だったのか」と気づかせてくれて面白い。よく考えている。
と言うもの、全てが上手く回収できたかどうか、ちょっと引っかかるところも無きにしもあらず、なのだが。
 
それでも脇を固める俳優陣が芸達者で、しっかり楽しませてくれる。安定の作品。
kojikoji

kojikoji