現れる小林

神は見返りを求めるの現れる小林のレビュー・感想・評価

神は見返りを求める(2022年製作の映画)
4.7
予告編や前半を見て我々が想像する展開よりも数段階リアルなストーリーが中盤まで続き、ラストも独創的。逆恨みで逆上し刃物を持って迫ってくるようなありきたりなストーカー作品とは違い、痛々しく、恐ろしく、なんとも言えない物悲しさがある。

あとムロツヨシの演技が見事だった。苛立ちがつのり日常に支障をきたし始めるあたりが特に素晴らしい。(書類のところ)

優しさからではなく意志の欠如から、人を助けるような行為にズルズルとのめり込んでいった経験はないだろうか。今回のストーリーの背景はそれである。
そしてそのような虚ろな親切が全て仇で返ってきた時の徒労感と失望。恩義と返礼にまつわる認識の齟齬。この映画ではそのようなものが見事に表現されている。