ひろさん

シスター 夏のわかれ道のひろさんのレビュー・感想・評価

シスター 夏のわかれ道(2021年製作の映画)
4.5
両親の事故死によって突然自分の前に現れた小さな弟ズーハン(ダレン·キム)に戸惑う20歳過ぎの姉アン·ラン(チャン·ツィフォン)を通して現代中国の問題を描いており、監督が1986年生まれの女性であることに驚いた。
一人っ子政策の元で女の子として生まれた主人公は障害者と偽って捨てられ、弟のために進学を諦めさせられた伯母、妻が死にそうでも男の子を出産させようとする夫など、どうしても男の子を欲しがる人。交通事故の相手や主治医から慰謝料をせしめようとする人。医者の家系や事業で成功した人との格差。どれもが中国の現実。
賭け麻雀を止められずに金を借りたり騙し取ったりしている叔父が一番人間らしくて憎めない。
両親のお墓の前で「勉強ができる子だと思わせたかった」と本心を吐露する主人公の苦悩が心痛い。
弟の養父母から求められた「弟には会わない署名」を拒否してそのまま二人で街に出たところで終わり、結末は観た人に委ねられる。
見どころは沢山あって、もう一度観たいと思う映画。検閲を通した中国の未来が明るいことを願う。
ひろさん

ひろさん