かめの

シスター 夏のわかれ道のかめののネタバレレビュー・内容・結末

シスター 夏のわかれ道(2021年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます


皆がそれぞれの「正しさ」に従って生きていて、誰にもそれを否定する権利はない、ということがヒシヒシと伝わってくるからこそ辛かった。

養子先へ勝手に電話した伯母さんも、麻雀ばっかりしている叔父さんも、完全なる悪人なわけじゃない(“お父さん”みたい、というのには驚いたが)。


アン・ランが養子先からズーハンを連れ出す展開には一瞬首を傾げたが、座り込んだアン・ランの不安そうな、「これで本当に良かったんだろうか?」という表情、そしてズーハンが「お姉ちゃん」と呼び、抱きしめ合うラストへ繋がったのは素晴らしかった!

ハッピーエンドとはいえないけれど、彼女自身の夢が両親に認めてもらいたい、という気持ちから始まっていること、そして何度も繰り返し過去を思い出し、憎しみと愛情を同じくらい覚える両親への感情に折り合いをつけることができた時、弟に同じ思いをさせない道を選んだのは自然なことかもしれない。

アン・ランの葛藤がきちんと、丁寧に描かれていたがゆえに、弟を育てること=夢を諦め、自己犠牲を払うこと、ではないんだと考えさせられた。
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