ぶみ

スイート・マイホームのぶみのレビュー・感想・評価

スイート・マイホーム(2023年製作の映画)
3.5
人生初の4本ハシゴ(3劇場)のラストを飾るレイトショーで観たのがこちら。

その「家」の秘密を知ってはいけない。

神津凛子が上梓した同名小説を、齊藤工監督、窪田正孝主演により映像化したスリラー。
理想のマイホームを手に入れた一家に迫りくる恐怖を描く。
原作は未読。
主人公となるスポーツジムで働く清沢賢二を窪田、妻・ひとみを蓮佛美沙子、娘・サチを磯村アメリ、賢二の母親を根岸季衣、母親と暮らす兄を窪塚洋介、清沢家を設計した住宅メーカー社員を奈緒が演じているほか、中島歩、里々佳、松角洋平等が登場。
物語は、念願のマイホームを手に入れた清沢一家がアパートから引っ越して住み始めたところ、遊びに来たこどもの調子が悪くなることを筆頭に、家の中で怪しい影を見たり、はたまた周りで殺人事件が起きる等々、不穏な出来事が起こる様が描かれるのだが、登場人物が少ない中、何が起こるかわからない空気感がしっかりと醸し出されている。
特に、登場シーンは少ないものの、引きこもりの兄を演じた窪塚の存在感は、やはり抜群であるとともに、一家の関係者ばかりがクローズアップされる中、刑事役で登場して、外部の空気を持ち込んだ中島の独特の雰囲気も見逃せないポイント。
また、そもそも舞台が空調一括管理で、外部からスマホで制御ができるスマートハウスであるのも、時代に即しており、興味深いところ。
加えて、何気なくエンドロールを眺めていたら、製作に「福山雅治」の文字があったため、まさかと思い、鑑賞後に調べたら、やはり俳優である福山本人であり、同監督の作品には出資しているとのことであったのも、驚きの一つ。
振り返ってみると、色々な部分に粗がないことはないものの、本来、そのタイトルのとおり、順風満帆で「楽しい我が家」になるはずが、少しの綻びから、あれよあれよと言う間に闇に陥っていく様を鮮烈に描き出し、スリラー、ミステリとして楽しめるとともに、ラストカットに背筋が凍る思いがする一作。

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