SSDD

スイート・マイホームのSSDDのレビュー・感想・評価

スイート・マイホーム(2023年製作の映画)
3.9
◼︎概要
幼い娘と妻を持つ男は寒い地域で暮らす中マイホームを持つことを考え始める、展示場に行くと"まほうのいえ"を謳う、地下室空調一台での全室空調管理システムを備えたスマートホームに惚れ込み、親切なスタッフも気に入り購入するのだが…。不可解な出来事に翻弄し始める…。

◼︎感想(ネタバレなし)
新人賞を受賞した作家のデビュー作が原作となり未読ですが、なかなか素晴らしいホラー作品でした。

不愉快で気に障る言動をする人間、問題のある身内、主人公の恐怖症など様々な要素が謎を深めていき、心霊的なホラーなのかサスペンスなのかを惑わすような作風は好みでした。

極めてナチュラルな演技が上手な窪田正孝さん、蓮佛美沙子さん(初めて名前知ったけどすごい力強いな)から、全体的には暗すぎるトーンエフェクトで進み、緑がかったエフェクトは食卓すら美味しそうに見えず、調理シーンで何か不穏さを晒してきたりと芸は細かい。

往年のJホラーのジャンプスケアだらけみたいなこともなく、しっかり良質なホラーを楽しめたため、原作も読んでみたくなった。久々にクトゥルフ神話関連以外の小説も買うか…。













◼︎感想(ネタバレあり)
・魔を呼ぶのは穢れか
主人公の閉所恐怖症から兄のパラノイアは関係していることはなんとなく掴めたが、刺殺しているとは思わなかった。主人公の父親殺害という穢れに引き寄せられ、殺人犯を呼び寄せたのか。

しかし主人公がクズなのは幸せな家庭というものを経験してないからなのか…。
幼い子がいる状態でよく平気で不倫するし相手の女に家買うことを言う神経も信じられん…。
あまりにも無神経な主人公だったのでそこまで同情的になれなかった。

・ホンダ
アマリという高身長の男をどうやって絞殺したのかとか、もう関係の切れた不倫相手を自殺に見せかけて殺したり、兄貴刺殺したりとなかなかあの低身長でフィジカルが強すぎて怖い。
キルカウントは3だが、アマリの感じだと過去も何人か殺害してる可能性を感じる…なかなかのサイコキラーである。

・ラスト
白百合の枝が折られてる時点で結末は幸せな家族に戻ることはないと思ったものの、無垢な赤子の目に写る亡霊を恐れて我が子の目に手をかけるというラストは衝撃的だった。
うーんクズに相応しいラストではあるものの、赤子という無垢な者に手をかけるとはなかなかすごい作品だった。

明らかにサスペンスだと思いながらも、兄の存在や子供の瞳に何か写っているなど心霊的なホラー路線を匂わせる手段はなかなかよかったです。
最初のアマリの言動でホンダかどちらかがなんらか犯人なのかなと予想していましたが、アマリ伝え方下手すぎるだろ…。

あと窪塚さんが演じる兄貴があまりにも無念。
SSDD

SSDD