Yoshishun

男たちの挽歌 4Kリマスター版のYoshishunのネタバレレビュー・内容・結末

4.4

このレビューはネタバレを含みます

"切っても切れない兄弟の絆"

日本公開35周年を記念し4Kリマスター化された『男たちの挽歌』。
中学時代に1度鑑賞はしていたものの、その時は何故かハマらなかった。
ジョン・ウー監督の作風に乗り切れなかったのだろう。

しかし今回劇場で再見してみて印象がガラッと変わった!
逆にジョン・ウー監督の作家性がツボに入り、香港ノワールの原点にして最高傑作に相応しい作品だった。

従来のジャッキー・チェンらが台頭していたカンフーアクションとは180°違う、シリアスなハードボイルドアクション。銃撃の一つ一つに作家性が滲み出る。ロングコート×サングラス×2丁拳銃というガンアクションの定礎を築いたシーンの数々に惚れ惚れする。

ストーリーは日本の極道ものの体裁でありながら、普遍的な兄弟や相棒との絆が描かれる。マフィアの一員である兄ホー、刑事を目指す弟キット、兄の相棒マーク(劇団ひとり)、今や巨大権力を手にしたかつての仲間シン、キットとホーの仲を取り持つジャッキー。それぞれの複雑な人間関係が絡み合い、クライマックスの復讐劇で一気に拍車がかかる。簡単には足を洗えないマフィアの世界の非情さが全編覆うも、普遍的な絆の物語があるからこそ、ラストは男泣き必至である。

冒頭何故かアドリブ味を感じたり、細かな演出が雑になったりと部分的には突っ込みどころがあるにはある。しかし、ジョン・ウー監督の確固たる男の美学に酔いしれ、香港ノワールの世界にどっぷりと浸れる一級エンターテイメント。
初見時とは全く印象が変わったから、これだから映画はやめられない!
Yoshishun

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