至って真面目なノワールなのに笑っちゃいそうになるのは何故だろう。いや、考えるまでもない。昭和ドラマのノリだからでも、作風に反してやたら勇猛なシンセブラスのせいでも、ましてや香港映画だからでもない。監督がジョン・ウーだからだ。
音楽のセンスが80'sなのは仕方がない。80'sリバイバルきてるし、普通に使ったらカッコいい。問題は普通に使ってないところだ。全体的になんだか笑えてくる塩梅。そして展開は至極ハードボイルドなのになんだか軽く見えるのは、音楽だけのせいじゃない。緊迫したシーンでもコミカルなヒロイン。やり過ぎな銃弾の雨。それを受けてもわりかしピンピンしてるキャラクターたち。足を大怪我してる設定のはずなのにめっちゃ動けるチョウ・ユンファ。このズレが、ズレてるのに真面目な感じが、なんだか笑えてくるのである。ジョン・ウーここに在りな、大仰ハードボイルド、ご堪能ください。
