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The Quadrille(英題)のarchのレビュー・感想・評価

The Quadrille(英題)(1950年製作の映画)
2.1
ジャック・リヴェット監督、ゴダール出演。サイレント映画であり、セリフも音楽もない状態でダンスルームに三人の男と2人の女がいる。
誰も面識はないのか、会話はない。それぞれがモジモジしている様子が延々と映される。一見、実験的かつ拙い作品ではあるがモンタージュという映画原則に基づいた手法については興味深い。
画面に一人しか映っていないカットの連続で構成されながらも、それでも彼らは部屋の中にいる他人を気にしていることは分かる。それは「視線」とカットの連続による「錯覚」によるもので、エイゼンシュタイン以降のモンタージュの効果そのものである。
言ってしまえばそれだけで成り立つように作られ、名前も分からない男女の色恋の感情を少なくとも把握出来るレベルで描けているのだから面白い。後半になるにつれて2人で映るカットが増えていくのだが「人」のみがカットに映る前半から次第にカメラが"2人"を捉え「空間」が立ち上がってくるようになり、そこから"外へ出る"という男女の動的な関係性の発展にていくのも面白い。

飽くまで実験的な作品で退屈なのは間違いないが、色々思い出させてくれた作品。
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