ひろさん

私のはなし 部落のはなしのひろさんのレビュー・感想・評価

私のはなし 部落のはなし(2022年製作の映画)
4.1
まず、開館直後に入って、すでに38人目だったことに驚いた。
現在の部落差別がどのように生まれて残ってきたのかの大学の先生の解説、京都市の東九条を撮影した8㎜フィルムの復元、部落地名総監を復刻し、部落探訪という番組をネットに上げる人物への同行取材、部落解放同盟の抗議により劇場公開を諦めた前作「にくのひと」の出演者が語る「差別意識を持つことは自分にもある」という言葉が腑に落ちた。
前川部落に住む若者が部落出身であることを彼女に言うかどうかをものすごく悩む姿、就職で前川を出た友人が部落のことを考えなくなったことを暗に責め、いつか前川に戻るように言うことに、自分で自分に枠をはめているように感じた。
移住者も多い箕面市北芝と比較して、地域にルーツがある人しか市営住宅に入れないことから空家が増えていく前川との活気の違いを感じた。
上映時間が205分と長く、途中休憩もあるこの映画は、知らなかったことを知ることができ、観た人は色々な感想を持つだろう。
一回観て部落問題が全て分かる訳ではないが、考えるきっかけになる、すごく丹念に取材したことが分かる作品だった。
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