ムチコ

螢火のムチコのレビュー・感想・評価

螢火(1958年製作の映画)
4.2
淡島千景ここにあり、と刻みつけるような映画。耳たぶの薄い女は幸が薄いと言う。つねにくるくる働き、手を動かしながらの演技にみとれる。サッシャ・ギトリを思い出してしまった。
お風呂を沸かしてあげる、そこだけでほのかな気持ちが伝わり、その後の文子との緊迫したやりとりが心に迫る。ふたりの京都弁が耳に優しい(わたしは関西人ではないのでどのくらいホンモノの京都弁に近いかはわからないし、ホンモノでなくてもよいと思っている)

あんなに強烈な「見た人形」すら後半にはどうでもよくなってしまう。ほんで「子供を産んでくれ、産めるね」ってアンタ、これ以上千景に重荷を背負わすのかい、というすごい幕切れ。
同じ日に見た「黄色いからす」と続けて、左利きを矯正する話でもあった。このうちにはカタワは要らん、と姑に釘を刺される千景であったが、当主は吃音なのであった(伴淳がうまいんだ)
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