藍紺

さかなのこの藍紺のレビュー・感想・評価

さかなのこ(2022年製作の映画)
4.1
おさかなが大好きな少年ミー坊が周囲を巻き込みながらもひたすら一途に好きなことに没頭して生きていく様を描くストーリー。さかなクンの原作が下敷きになってるけど、あくまでもさかなクンの物語、ではなく、ミー坊の物語になっている。
「好きなことを続ければいつか願いは叶う」的な甘いことをひとつも言ってないのがよかった。ゆるふわに見えて実はブラックな世界観も垣間見えて好き。
世間的には魚類学者として成功を収めているさかなクンを、映画内では近所の不審者であるギョギョおじさんとして描いており、その顛末には呆然とする。好きなことだけ追いかけて結果的には挫折した人を、現実には夢を叶えてる人にサラっと演じさせてしまう沖田修一監督恐ろしや。

とにもかくにも全ての配役がバチっとハマった今作は見事としか言いようがなく、とくにのんさんは流石。彼女が主役だったからこそ物語に説得力が生まれたと思う。もうね、目がキラッキラしてるんだ、輝いてる。求心力が凄まじい。
沖田監督作品、実は初めての鑑賞だったのだが(すみません)、他も観てみたくなったな。説明ゼリフを使うことなくミー坊の成長をカットだけで表現していくとことかとても上手い!観客に想像をゆだねてるのが見事だと感じたし、実際に監督は編集にかなり苦心して間とかタイミングにこだわってるらしく、緻密に計算されてるそう。でもそのこだわりが伝わる映画だった。
好きなシーンはたくさんあるけど特に好きなのはタコをシメるところ。夢に出てきそうw

才能とか人との縁とか色々考えさせられる映画でギョざいました!
藍紺

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