うさぎの森大臣

さかなのこのうさぎの森大臣のレビュー・感想・評価

さかなのこ(2022年製作の映画)
3.7
小さい頃からテレビで見てたさかなクン。
子供心に「ただの奇天烈な人のように見えるけど、周りの雰囲気や相手の気持ちを凄く気にしながら話してる人だな」と思っていたので、今回のみーぼうのような自分に悪意を持っている人に気が付かない人とは少しイメージが違った。大豆のことを馬鹿にしたり、人にブスと言ったり私が思っていたさかなクンとは違っていた。もしかしたら成長することで変わっていったのかもしれないが、大人になってから親友の恋人にあそこまで見下されて気が付かない人だろうか。

高校生になってからのシーンではスミオとお父さんは一切出てこない。気になって調べてみたらお父さんについていろいろ事情があるらしいが、それに対する突撃インタビューにも真摯に、それでいてお父さんを決して悪く言わないさかなクンにとても好感を抱いた。

お母さんは本当に母親の鑑だろう。



今回の映画も面白かったが、もっとさかなクンのそのままの人生を描いた映画を観たいなと思った。



作中ではみーぼうが傷つくような出来事は徹底的に省かれている。両親の別居、水族館の退職、レストランでの親友とその彼女との言い争い。全部あったはずなのに描かれない。みーぼうはさかなの中で生きているから。外で生きようとけれど無理だった(幼なじみとその子供との同居、そして別れ)。みーぼうはさかなの中でしか生きられないから。

大好きな沖田修一監督作らしい、ファンタジー色が強いのにえぐいほどのダークさも感じられる映画だった。
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