ギャス

宇宙探索編集部のギャスのレビュー・感想・評価

宇宙探索編集部(2021年製作の映画)
3.5
予想外にとても楽しめた。
骨子はよくある話かもしれないが、人間の面白さによってしっかり肉付けされ後味は豊か。ちょっと変わった人がたくさん出てくるところは「月曜から夜ふかし」のテイストで、そこにニヤッと笑える演出がたくさん加えられ最後まで楽しめる。
あまり今まで見なかった中国の街角や列車旅の風景、ディープなナマの田舎、もはや別の国感のある山あいは中国の多様性を見せてくれ、たくましい商魂の人たちも含め細部まで楽しめる。
そして、"放送される詩"には意味がないようで実はとても深淵にも思える趣きがありそこはさすが漢詩の国。それだけでも見て良かったと思えるほど味わい深かった。
後味は深く切なく爽やか。


ネタバレ
それぞれの喪失感を埋める旅だったのかもしれないと思えるラスト。結婚式での言葉は宇宙と人生、人の歴史が重なる例え。謎の答えを求めてどこまでもゆく旅は、やっと見ることのできた彼の笑みで終えることができ、まるで自死でいなくなった娘(その意味)を探す旅でもあったように思える。
ロバは幸せに生きてほしい。
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