なんだかインディーズバンドのレコードをかけている様な、不思議な味わいのモンゴル映画。
ウランバートルのアダルトトイのお店でバイトを始めたヒロインと、有閑マダムのオーナーという対照的な様でいて、共に過去に捕らわれて未来が見えない二人のシスターフッド的物語。
アダルトショップという舞台は、装置としては機能しているが、それほど重要ではなかったりする...かも。
基本はコメディなので、終始クスクス笑ってしまう楽しい作品だった。
ウランバートルの社会主義的なデザインの都市部から少し車を走らせれば大平原が広がっているギャップが象徴する様に、不思議な味わいが詰め込まれた映画で・・・素朴かと思いきや赤裸々な描写が出てきたり、現実と虚構の世界を行ったり来たりしたり、妙に土着的なシーンがあるかと思えば欧米的でポップな色合いになったり、それでいて中央アジアや韓国、中国映画の臭いも感じさせたり・・・これがモンゴルのモダンな映画かぁ・・・などと勝手に感じ入ってしまった。
冒頭、登場したヒロインのボサボサの髪に安っぽい服装、吹き出物だらけの顔に乏しい表情・・・と、その物凄い野暮ったい装いにビックリ。
童顔だけどグラマラスなスタイルの女優さんで、かなりあけすけな描写がされるのに、何をやってもセクシーさ皆無なのには笑ってしまったのだが、物語が進むにつれて洗練されて表情も豊かに成っていくのはお約束ながら、見事。
彼女の両親もビックリしたほどの凝ったメイクは野暮ったい姿の方・・・と後から読んで二度ビックリ(浅黒く見せる為に露出も絞ってる?)。
地方のロシア語教師だった父親が今やフェルトのスリッパを作っているという姿や、キノーの曲が流れるロシアンレストランに通うソ連かぶれのオーナー(留学していた割にはロシア語がつたない)だとか、モンゴルの社会や風俗については、パンフレットに詳しいので劇場で買おう!