トルコ航空127便が過激派によってハイジャックされる。CIAウィーン支局のチームは乗客の命を救うべく奔走するが、テロリスト達は120名の乗客全員を道連れに命を断つ。
後に関わりのある首謀者の1人が捕まり、当時、CIA内部に内通者がいたのではないかとの疑いが深まる。チームメンバーだったヘンリー(クリス・パイン)に調査の命がくだる。
派手なアクションは一切ない。会話がメインで静かに進行していく。人によっては退屈してしまうだろう。フーダニットよりも、ホワイダニットの作品。
ハリウッドのサラブレッド、クリス・パインもスター・トレックの頃からは渋みを増して、陰影のある役も演じられるようになったのかと感慨深い。来年公開のD&Dが楽しみだ。
だが、本作ではなんと言ってもタンディ・ニュートンが素晴らしい。年上ながら同じ50代のハル・ベリーが陽なら、タンディは陰か。イギリス人らしい抑えたトーンの芝居が美しい。
これも夜中にグラス傾けながらしめやかに観る系。大きな余韻は残らねど、ギャラリーの隅に置いてある、人目にはつかぬが確かな伎倆の静物画の小品のよう。