ふじこ

友達になろうよのふじこのネタバレレビュー・内容・結末

友達になろうよ(2019年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

なんだか変わり者の青年モー。
同じアパートに住む女性キャロラインは変わっているけれど優しいモーに好意を抱いているがモーには全然伝わらない。
ある日興奮した様子で同窓会があるんだ!親友のエマに会うんだ!と教えてくれるモー。
しかし自作の鳥が失くなってしまい、意気消沈する彼を一応止めたものの、彼は同窓会へ向かう。
そこでエマは自分の事なんて憶えていないし、彼の語る学生生活は他の生徒に便器に頭を入れられておしっこをかけられる思い出…。
そこで自分をイジメていた男と同じカバンでやってきたのを良いことに、入れ替えて持ち帰るモー。
そこへ呆れながらカバンを間違えただろうとやってきた男を無理矢理家に招き入れるも、彼の部屋を見て驚く男。
俺たちは友達じゃないと言う男をモーは気にも留めず紅茶とクッキーを勧めると、紅茶を浴びるようにのみクッキーを鷲掴みで頬張り、これで俺たちは友達か!と出て行こうとするもクッキーを喉に詰まらせて倒れてしまう。
そんな階上のドタバタを、モーが失くしたと言っていた鳥を撫でながら見上げるキャロライン。

夜、音楽を聞きながら隣同士に座る男とモー。きっと救ってくれると信じていたよ、さっきは悪かったと。
お前はいつも友達だった。そういう男の顔にハエが止まる。
音楽がループしてしまったステレオを叩いて、窓の近くに落ちていたハエをピンセットで採取。壁には一面瓶に入れられたハエが並ぶ。
そこからカメラが引くと、オレンジ色が可愛い壁紙と素敵な家具が揃った部屋ではなく、色褪せてハゲかかった壁と床には一面羽根と藁屑のようなものが落ちていて、よく話し掛けていた可愛い猫ちゃんもただの自作の剥製。
そして並んで談笑していた男は頭部にポットの蓋や注ぎ口、持ち手を付けられたモーによって改造された剥製姿。
しかし話し始めるとまたいつものおしゃれな部屋に戻り、男はエマも呼んでお茶をしよう、などと話す。

そこにキャロラインがやってきて、壁に飛んだ血飛沫、剥がれた壁紙の部屋に変わり、友達とお茶してたんだ、彼はダレン とモーが紹介する。
こんにちは、ダレン と緊張したような表情で挨拶するキャロラインだったが、エマもお茶しに来るんだ とモーが続けると笑顔になり、部屋の色が戻りつつ そうなの?じゃあお湯沸かすわね!と笑顔でキッチンへ向かう。
隣の男がモーに笑い掛けるが、少し笑って悲しそうな表情になるモー。


おわり。
なんだか悲しい話だなぁと思っていたんだけど、最後のモーの表情を見るに世界を偽っているのは自覚しているのかなぁ…。結局は彼も本当の友達ではない、と。
一方のキャロラインは現実を認識していながらも、モーへの好意で彼の世界に入る事が出来るって感じかなぁ。
もしそうんなんだとしたら、キャロラインの方が怖いかな…。恋は盲目ってレベルじゃないし。
変わってるけどモーが優しいのは本当で、雨の中買い物から帰ってきたキャロラインがタオルを持って降りてきたモーに荷物を持ってくれない?ときくんだけど、モーは一瞬止まった後に持っていたタオルでキャロラインの頭をぐしゃぐしゃに拭いてくれる。優しいは優しいんだけど、なんだかズレている。
彼が変な妄想に逃げたりせずに自分の良いところを伸ばせばきっと幸せになれたような気もするけれど、彼がこうなのは生来なのかイジメられる自分の現実から逃れたせいかは分からないからなぁ…。
キャロラインもまた変わってるんだけど、モーの世界を理解出来ているのならそこから掬い上げる事もまた…と思ったけど、あの世界を出たら必ず幸せになるわけでもないし、良いのかなぁ…。
なんともモヤモヤするお話。好き。
ふじこ

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