まーしー

映画ドラえもん のび太の新魔界大冒険 7人の魔法使いのまーしーのレビュー・感想・評価

3.0
シリーズ第27作。
地球の侵略を企む魔界星の大魔王デマオンに、ドラえもんやのび太、ドラミなど7人が戦いを挑むストーリー。

悪魔を倒すという、一点突破のストーリー。
しかし、単純に見えて奥深い内容だった。
まず、重層的な世界観。
「もしもボックス」を使って現れた「魔法の世界」と「現実の世界」が存在し、さらにタイムマシンを使って過去と現在の2つの時間軸が描かれている。
このパラレルワールドの繋がりは、ところどころに現れた伏線(空から降ってきたドラえもんの石像など)と回収によって明らかとなる。この脚本が秀逸。

次に、今回のメインゲストとも言うべき美夜子と母のサイドストーリーが良い。
しずかちゃんと同世代の美夜子。なぜ髪を短く切ったのか、その理由は明言されていないが、涙を誘う内容となっている。そして、美夜子を想うあまりに母が取った行動も切なく哀しい。
母娘の辛い気持ちを描くあたり、シリーズの中でも重い部類に属するだろう。

また、作品時間は112分と、『ドラえもん』作品の中では長め。
その分、丁寧に描かれている印象。誤解を恐れずに言うなれば、長尺で有名なクエンティン・タランティーノ作品のよう。色々なエピソードを紡ぐことで、登場人物がキャラ立ちしているように思う。
ただし、テーマは単純明快ながらも行間を読む部分もあることから、子どもにとっては理解しがたいところもあるだろう。

最後に。mihimaruGTが歌う主題歌『かけがえのない詩』も良かった。