デニロ

不知火檢校のデニロのレビュー・感想・評価

不知火檢校(1960年製作の映画)
4.0
検校という盲者のための官による職位があったそうで盲官の最高位だということです。

その最高位を目指すサクセスストーリー。

サクセスストーリーなのだが、決して爽やかなものではありません。成功するには相応の智謀がなければなりません。人を陥れ、押しのけ、いたぶらなければ手に入りません。人は人の上を歩くのですから、それを躊躇っていると喰われてしまいます。

勝新太郎がそんな男をニタニタと舌なめずりしながら演じます。目が見えぬのに美形の女子の判断はつくのです。按摩として出入りしていた材木屋の妾の妹山本弘子を巧みに誘い込み凌辱する。また、弟の不行状に思い悩む旗本の細君の相談に乗りつつ、必要な50両の金を貸す算段をしたと見せかけ、殿様には知られたくないというその細君の弱みに付け込み凌辱する。そして、金が欲しければ、わたしのところまでお出でなさいと嘯き、50両を数回に分けて貸付けた挙句、都度、その身体を堪能するのだ。

何という。

それだけではなく蛇の道は蛇とばかりに金目のことについては強盗と手を組み、按摩として出入りする大店に手引きし襲わせて分け前を得る。そしてその財力を以てして遂に盲者の最高位の検校になるのです。

いいのかこんな話。

最後は、蟻の穴から堤も崩くずれる、という具合になるのですが。

1960年製作公開。原作宇野信夫。脚色犬塚稔。監督森一生。勝新太郎。その後の座頭市シリーズに繋がる作品。

角川シネマ有楽町 大映創立80周年記念映画祭Road to the Masterpiecesにて
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