神の街

夢の神の街のレビュー・感想・評価

(1990年製作の映画)
4.3
英ライフスタイル誌『DAZED』にて、日本の幻覚的な映画として紹介されていたため視聴。黒澤明二本目。前半までの展開はやけに艶かしく、幽玄なもの・超自然的なものに触れていたため、幻覚的と称されていた理由も分かるが、後半からのシリアスでディストピアな面を視聴すると全くもって幻覚的な映画ではない印象だった。徹頭徹尾物質主義や広義においての資本主義などに警鐘を鳴らし、ひいてはアニミズムや土着信仰に触れることで自然の美しさを再確認させられる作品だった。そのような通底したメッセージを咀嚼すると、タイトルの『夢』とは、我々が普段見るような夢ではなく、自然との共存や、科学を用いてより良い世界を作ろうとした人類の軌跡、しかし深刻な社会問題になってしまっている環境問題などに対する悲哀や功罪などにタイトルを付けた『夢』ではないのかと感じた。両義的でアイロニーのあるタイトルに脱帽してしまう。
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