吉増剛造×空間現代の即興ライブパフォーマンス。
宮城の金華山を望むホテルの窓に書いた詩から始まる。
密閉空間で、ガラスに描き、詩を吟い、即興のロックが響く。
上映途中、偶然にも地震が二度あったけれど、映像の振動やエネルギーの方が大きい。地震に気づいていた人はいたかな。
映画の音声も一瞬飛んだのは事故らしい。
ガラスの板に向かって呻くように吟ずる詩は、言葉からはみ出た有り余る思いで、怒りと哀しみと後悔で満ちていた。
ガラス板はあの世とこの世を隔てるもので、彼方側からは此方側を見ることができて、此方側からも彼方側を見ることができる。
でも、触れあうことができない。
こんなに近いのに。
そんな感想を持ちました。
金華山は神職しかいない霊場。
これは映像ならではの体験で、ガラス板のあちらとこちらを両面から見られた。
吉増剛造さんのパフォーマンス映像は「VERTIGO 眩暈」よりこちらの監督の作品が好み。前者監督は映像に商業的な匂いがしたが、こちらはアートをちゃんとアートしていて、吉増さんが素材ではなく、主役になっていた。満足です。
音楽がその場の即興だと、アフタートークで知った。すごいなあ。カメラは監督一人。吉増剛造さんをここまで振動する映像に撮って、七里監督すごいです。