みむさん

I AM ZLATAN/ズラタン・イブラヒモビッチのみむさんのレビュー・感想・評価

3.0
17歳のズラタンを演じたグラニット・ルシティがスウェーデンのアカデミー賞にあたるゴールデン・ビートル賞(Guldbagge Awards)で主演俳優賞受賞していた。

原作となった自伝小説を10年前ぐらいに読んでめちゃくちゃ面白かった(翻訳のせいもあってズラタン節がさらに面白い)。しかも共著が「ドラゴン・タトゥーの女(ミレニアムシリーズ)」の作者ダビド・ラーゲルクランツ。

それが映画化されてどうなるんだろう?と気になってたが、良くも悪くもまろやかでアクが抜けてあまり棘のない、よくあるアスリート自伝ドラマになってた。
普通に楽しめるが原作先に読んでると全然物足りない。これでは数ある映画の中に埋もれてしまうのも納得。

ちょうど一番サッカーを見ていた時に活躍してた人だし、ズラタンさんPSGの時はチャンピオンズリーグ生観戦に行ったし、その実力のみならずキャラクターが好きだった。

ズラタンさんの少年時代~アヤックス(ユベントス移籍前)まで、親の離婚、移民二世としての生活、ちょいちょい悪さやらかす、チャリンコよく盗むし、喧嘩っ早くやんちゃで怖いもんなしの悪ガキ少年時代が体感で尺の半分くらい?あったような。
サッカーの才能開花したからよかったけど、開花しなかったらどうなってただろうね?
あの感じだと他の世界でも名をあげそうな気がしないでもないが。チンピラになってたんじゃないかって気も…😅

子供じみたことはやめて成長しろ、さもなければ一流にはなれないと言われてちゃんと聞く耳があってよかった。とにかく一流になるんだという目標(野望?)と強い気持ちがあってこそ。
こんな少年時代だったが一流になった、自分を信じて突き進めというやつ。お父さんが意外といいこと言う。

面白すぎた自伝小説の半分ぐらいしか描かれてないのはもったいない。ただの自伝じゃなくて、移籍裏話、確執とか悪い部分もけっこう書かれてて面白かったんだけどな…という気持ち。
そのあたりも映画にするとなると尺の都合もあるだろうし、観客のターゲットをさらに狭めかねないので仕方ないのかねぇ?
でも結局それで当たり障りのない超無難などこにでもあるような普通の映画になってしまい、サッカー好きにしか興味持たれない作品みたいになっちゃった感じ。

そうなるくらいだったら徹底的にコアなファン向けに作ればよかったのにね?とも思う。
大人の事情で無理だったのかもね?なんて勘ぐってしまう。
もしくは徹底的リアリティをもって描く「サンシーロの陰で」のロニー・サンダールが監督脚本すればよかったのにと思ってしまう(同じスウェーデンだし)。

試合シーンは「Goal」や「タイガーズ サンシーロの陰で」のほうが本格的。

エンドロールにズラタンスーパーゴール集あり。