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線は、僕を描くのひでGのレビュー・感想・評価

線は、僕を描く(2022年製作の映画)
3.8
公開時からずっと観たかった作品。またまたネトフリで発見。即座に鑑賞しました。
僕は「ちはやふる」シリーズが大好きなので、小泉徳宏監督の次回作も待ち焦がれていました。
原作は途中までしか読んでいません。主に登場人物たちが出てくる辺りまでです。

小説もそうですが、本作は「ちはやふる」と違い物語の波動が少ないお話です。
水墨画のレセプションで三浦友和演じる篠田湖山先生が突然姿を消してしまう場面が最大の山場になるでしょうが、「ちはやふる」と違い、競技ではないので盛り上がりを期待すると、やや食い足りないと思う人もいるでしょう。

絵画を描くことを動きのある絵(映画)で見せることは難しい。画家の苦悩は見せられても、絵そのものは時間をかけて完成していくものなので、上手く表現し難いのではないでしょうか。

それに対して、水墨画は、空間も時間も空白があり、描く直前の絵師も観客も呼吸を止め、無の状態から一気に線ができ、それがかたちとなっていく様は、まさに映画!
特にある人物が代役でこの動きを魅せてくれる場面は、高低の小さい物語の中でも一番の見せ場でした。

役者の配列もこの映画の見どころ。
水墨画の大家篠田湖山に三浦友和。
その一番弟子西濱に江口洋介。
そして、主役青山くんに横浜流星。
71歳、55歳、27歳。
日本映画を引っ張る3世代が、それぞれの線を描いて、一つの力を作品を作っていきます。

三浦友和の頼りになる線や横浜流星の最初は繊細でか細い線が徐々に独り立ちしていく線もとても良いが、この作品で最も輝いていた線は江口洋介だ。

最近は刑事や悪役のセカンドボスみたいな役が多かったけど、湖山の身の回りを世話しながら、絵師としての実力も持っている西濱さんという大きく魅力的な人物を好演。古いファンには、「一つ屋根の下」の兄ちゃんや!

なぜ、湖山が青山に声をかけたのか、
青山が抱えている苦しみは、、など骨幹の部分がもう一つ深まらない気もするのですが、清々しい雰囲気の爽やかな作品でした。
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