ボブおじさん

非常宣言のボブおじさんのレビュー・感想・評価

非常宣言(2020年製作の映画)
4.3
いや〜面白かった!
バイオテロを題材としたフライトパニック映画だが、見事な娯楽大作に仕上がっている。141分があっという間に感じられた。
間違いなく劇場の大画面で観るべき映画だ。

乗り物の中という外部から閉ざされた空間でのパニック映画は、これまでも数多く作られてきた。「ポセイドン・アドベンチャー」「カサンドラクロス」「タイタニック」だってそうだろう。フライトパニックに絞れば古くは「エアポートシリーズ」「フライト・ゲーム」実録物の「ユナイテッド93」など名作から模倣作まで玉石混交。

本作では旅客機内という逃げ場のない中でのバイオテロによる〝未知のウイルス拡散の恐怖〟という現在最もタイムリーな要素を加えることで、世界中の観客にリアリティを与えることに成功した。

これだけでも乗客たちは大パニックなのに、更にご丁寧なことにこの映画ではもう1つ大きなアクシデントを追加する。コックピット内の感染でパイロットによる飛行操縦が不可能になるのだ。

なんと欲張りな!
この最新トレンドを取り入れたフライトパニック映画の中に、あのキアヌ・リーブスの出世作「スピード」をぶち込んできた。機内にサンドラ・ブロックは乗っていない。一体誰が飛行機を操縦するのか?

この絶体絶命のピンチに立ち向かうのは韓国が誇る国際スターの2トップ。上空でイ・ビョンホンが悪戦苦闘する中、地上からはソン・ガンホが刑事としてウイルスの謎を追う。

接点の無い2人の男が、突如浮上した大パニックに立ち向かうのは姿は、パニック映画の金字塔「タワーリング・インフェルノ」のスティーブ・マックイーンとポール・ニューマンを彷彿させる。

地上で描かれる捜査劇も上空に負けなスピード感で描かれる。特に街中でのカーチェイスの迫力ある映像は韓国アクション映画のレベルの高さを見せつける。

ついでに言えば急降下による機内の容赦ない無重力描写も韓国印の大迫力。アメリカ映画でさえ見たことのないリアルな映像に引き込まれた。

後半は全く違った切り口での攻防が繰り広げられる。正直この部分だけで一本別の社会派サスペンスが作れそうな詰め込み具合に、もう胃袋が受け付けない人もいただろう。

個人的にはラストのくどい位のデザートまで含めて美味しくいただくことができた。一瞬、ムムっと思う場面もあったのだが、決して一方的な描き方ではなかったので😊

サービス満点のてんこ盛りの為、長尺となってはいるが、韓国映画の底力を見せつけるパニックエンターテイメント。

さて、混乱の渦に包まれたKI501便が迎える運命とは──その結末に乞うご期待!



………………………………………………………………………….


ここから先はただのボヤキです。
決して本気で読まぬようお願いします😊




それにしても、こういう作品を見ると韓国映画が世界をマーケットとして作られていることを実感する。人口を考えると国内だけでは先細りの為、先手を打った国策が見事に花開いた結果だろうが、翻って日本の映画の未来を思うと…。

是枝監督に続き濱口竜介監督あたりも海外に行ってしまいそうで。

アニメ映画は日本の宝だが、それで稼いで満足して、後は安定需要のある旬の若手俳優の使い回しの恋愛映画。

見たことあるぞ!このストーリー。あの映画の丸パクリだろ!

いえいえ、若い人には初めてですからの開き直り。

お前ら日本の映画界を良くしようと思って制作会社に入ったんじゃないのか?

長いものに巻かれて、あの頃の情熱はもう消えたのか!

なんてここで言っても仕方ないか😭

優れた監督や役者もいるのに国内マーケットしか見ていない内向きな制作会社。国内売上から逆算すれば自ずと決まってしまう製作予算。

もっと金かけて世界に通用する映画を作って世界で稼ぐという意気込みを感じられる映画を見たい!

この映画、日本じゃ作れなかったの?
ロボ・コップも日本でできたでしょ?
ブレット・トレイン作れないの?(これは無理か😊)

誤解のないよう言っときますが、アニメ映画のクオリティが高いことは素晴らしいことです。(「スラムダンク」は最高だった)

アイドル映画に目くじら立てるつもりもありません。(私も昔見てました。薬師丸ひろ子とか原田知世とか)

でもね、外国人に好きな日本の映画と俳優を聞いて、いまだに「七人の侍」と三船敏郎と言われているようじゃダメだと思う。

以上、現場からのボヤキでした😅