ペコリンゴ

非常宣言のペコリンゴのレビュー・感想・評価

非常宣言(2020年製作の映画)
4.2
記録。
感染するか、墜落するか

ソン・ガンホ × イ・ビョンホン。
韓国映画界のトップスター共演で贈る、スリル満点の航空パニック映画。

仁川発ハワイ行きのKI501便。
高度28000フィート上空にて発生する、致死性ウイルスによるバイオテロ。乗員・乗客が相次いで死んでいく閉鎖空間で感染の恐怖・墜落の恐怖と対峙する人々、及び地上から彼らの生命を救わんと奔走する者たちの姿を描く。

これは想像以上にパワフルな映画だ…!

『新感染』のようにゾンビ化することはありませんが、短時間で皮膚に水疱が出来、いずれ血を吐いて死に至る強毒性のウイルス。最初の犠牲者だけやたらエグい死に方なのはご愛嬌w

勿論パイロットも例外なく感染するので、フライトの継続など期待できるはずもなく…では着陸はと言えば、そう簡単な話で無いことは、未だ未曾有のパンデミックに晒されている我々は良く知っているはず。

この詰んでるとしか言いようが無い地獄のフライトを、劇場のシートで半強制的に体感させられるのがこの映画です。

特に急旋回しながら落ちていく機内のシーンは、実際の旅客機を360度回転させて撮影したらしくその没入感は圧倒的!飛行機嫌いの僕に至っては最早お祈りをするレベルで、全く生きた心地がしませんでした。

秀逸なのは、このご時世で特に身に染みる”分断”を強く意識したドラマ性。

決して機内にとどまらず、国家間、世論を巻き込んで展開されるそれは一部やり過ぎ感を感じてしまったものの、場内のどこからともなく聞こえてくる見知らぬお客さんの嗚咽に雑魚涙腺の僕は貰い泣き一歩手前(でも耐えた)。

ただ、豪華キャストを起用してる割に役名すら覚えてられない一部人物描写の荒さ、機内の描写や時事性の高いドラマのリアリティとは裏腹に、散見されるあり得ない展開にやや興が削がれたのも事実。

とはいえ、それらのマイナス面を捩じ伏せるパワーを持った快作です。

とりあえず思ったのは、
飛行機なんか二度と乗ってやるもんか!!
でしたw