ささ

非常宣言のささのネタバレレビュー・内容・結末

非常宣言(2020年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

お隣がBBQをしているのを助け合っていると言っていたのが、犯人と母親の関係性に繋がると思った。
犯人の母親は俗に言う毒親だったが母親の死後、犯人のアイデンティティが失われ自暴自棄により犯行に及んだとされていたと思う。
良い関係とは思えないが犯人の人格形成をし生きる意味や抑止力になっていたのは母親だったと思う。

この関係性は犯人以外の乗客にも当てはまるように描かれてたと思う。
妻を亡くした副操縦士の思いは特に犯人と近い感覚だと思う。
元パイロットの娘の機内での言動も学校の友達が見えてくる。
刑事の奥さんも娘が大きい存在なのが分かる。

また、機内の状況が1つの国の様になっていて実際の韓国と重なる様に描いてだと思う。
機内でいう乗務員が国家で、ファーストクラスとエコノミーは貧富の差、ニュースに踊らされる感じもリアルだと思った。


ウイルスが伝染らないようにと自分の為だけに感染者を攻撃的に排除しようとする男や、刑事の妻、元パイロットの娘など、犯人も含めて非常事態に対する反応が豊かに描かれてた。
やっぱり実際のコロナに対する世間の反応のリアルで見ていたからこそ描けたのかなと思った。

飛行機が近づいてスマホで地上と連絡をとる感じは、コロナで隔離されそのまま亡くなられた人を思い辛かった。

着陸するかどうかの時に日本がでてきて抗体が効くかどうかは不確かだから拒否をする。韓国も国民の意見が割れる。
作中でも言ってたけど、機内のスモールワールドとリアルの世界が重なっていて面白ろってなった。

ここで刑事と元パイロットが効いてくると思った。様々な意見が出てきて正解も分からない中で自分を信じ、選択し行動できるかどうかで道が切り開ける。


アパートの死体の発見はめっちゃ怖かった。
埃が常に舞ってるようなザラついた映像のトーンが良かった。

飛行機が空にぽつんと飛んでいる場面では実験のモルモットの様にも感じたし、遠くの飛行機を見てる自分はテレビでコロナの拡大を見ながらどこか他人事の様に思ってる感覚にも近いと思った。
ささ

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