面白い。
個人的に飛行機映画好き、それもテロや事件が機内で巻き起こるという内容が好きなので刺さりまくった。
発端として謎の男がワキをナイフで切って、その中に何かを隠すところから始まっている。
密輸や違法な機内持ち込みはいろいろ見てきたが、「ワキ」は金探からももっとも皮膚の内側に位置しているので反応が薄くなってもおかしくない。
そういう伏線を徐々に描いていくのがとても上手い。
機内で咳の音がするだけでドキッとしてしまう。
途中、機長が死んだとき飛行機が真っ逆さまに落ちる様子は迫力満点。
撮影時もセットをくるくる回転させて撮影したのかなと想像するが、搭乗時に全員がニコニコ楽しげにしていたのが対比されている。
中盤テンポは悪くなったが、アメリカがテロが起こった飛行機を着陸許可が出さなかったという出来事を挿入したことで、米批判のような政治的内容が反映されている。
そこは事実やリアリティーうんぬんより「韓国から見たアメリカ」「韓国から見た日本」が反映されていると考えれば面白い。
ブリコム社の社長（おそらくアメリカ人）が見るからに小者そうに描かれているのは笑った。
着陸を許可しない日本が描かれるが、実際コロナ禍の際日本がダイヤモンド・プリンセス号から乗客を降さなかったのは記憶に新しい。
かと言って、航空自衛隊が攻撃するとは思えないが（苦笑）、韓国は戦時下に日本が朝鮮半島を侵略したことを今でも忘れていないということだろう。
ただ犯人の動機が幼稚で「全員死ぬのが見たかった」「リセットしたい」「道連れにして死にたかった」というのは、単独テロを考えるテロリストが飛行機墜落を目論むというシナリオを考えたとき、最もシンプルではあるが……脚本家が真っ先に思いつきそうでもあり、もう少しオリジナリティが欲しかった、という思いもある。
