劇場版で何度か流れるドリカムによる主題歌。作詞はもちろん吉田美和。
「モビルスーツは進化するのに
僕はどうだ?
伝えたい言葉を選ぶのさえうまくいかない
何がしたいんだ?」
良いとこの出筋で自衛組織の候補生が、宇宙海賊と出会い戦禍に巻き込まれていく。ボーイミーツガールかと思ったけれどそうではなく、自分を探し、自分の周りの世界を救う、ごくシンプルな成長譚が「Gのレコンギスタ」だった。
かなり歳を食った自分がいまなおこうした冒険に心を震わせられる。いつまでたっても進化していないからだろう。
小6でガンダムに出会ってから、ずっと想像の世界を旅して、何かに憧れてきた反動で、周りがアップデートしていくたびに自分の不甲斐なさに焦る。
そんなモヤモヤを大人たちの剥き出しのエゴに晒される少年の眼を通して丸裸に描いてきてくれたトミノ監督。
80歳にしてこんな鮮やかな青春像を、こんな爽やかな情景とともに産み落としてくれる監督、なんなんだいったい。
TV版をブラッシュアップして新作画、新録音、セリフも大幅に追加してエンタメ度を上げてきた劇場版5部作。すべて劇場で観れて本当によかった。監督も、ボクも、確かにまだ生きているという実感があった。登場人物を片っ端からぶっ殺していくことで、一貫して生命の重さを描いてきた監督だからこそ、この歳でこうした創作を続けてくれることがなによりも嬉しいし、何があっても死ぬもんか!と思う。
肝心の内容については、ラストの追加シーン以外は大きな改変はなく、それでも時代に見放された男たちの死に様はやはりトミノ独特のエモーションを感じさせ、ちゃんと生きながらえる者たちの心はどこかあどけなく純粋で、そうそう、これがガンダム!と深く頷きながら余韻を楽しませてもらった。
もちろん、激しいセリフの応酬と共にモビルスーツの宇宙戦を観られるのも、やっぱり大気圏突入にワクワクハラハラするのも、地上で引力を感じながら激しく剣を交えるのも、大画面だと迫力は桁違い。加筆修正があるとはいえ、このクオリティでテレビ放映してたのかと改めて驚く。
気持ち的にはスコアは5.0だけれど、総集編の一部というところでそれなりに。
1作目を観た時にも思ったけれど、もう一度5部作を通しで観たくなる。
叶うなら、劇場で。