じゅ

MEMORY メモリーのじゅのネタバレレビュー・内容・結末

MEMORY メモリー(2022年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

いや名前多くてむずいわ。短期詰め込み記憶力試験かいな。途中ついていけてなかったw


どんな物語だったっけか。
アレックスという殺し屋がいて、友達のマウリシオ経由で仕事をもらっていたけど、兄と同じくアルツハイマーの症状が出始めていて引退しようとしていましたと。
そんなアレックスに「俺たちに引退はない」とマウリシオから渡された仕事は、エリスという男の殺害とフラッシュドライブの回収、加えてベアトリスの殺害。背後にはダヴァナという不動産王の影があり、彼女が出資するメキシコからアメリカへの不法移民の収容施設において移民の少女が売春に使われていることをエリスが告発しようとしていた。ベアトリスは売春させられていた少女の1人で、FBIに保護されたためダヴァナは証人になることを恐れた。フラッシュドライブにはエリスが告発に使おうとしていた証拠が記録されていて、その中にはダヴァナの息子ランディがベアトリスと性行為をする映像の隠撮りも含まれていた。
アレックスはボーデンという男から標的の写真を受け取ると、首尾よくエリスを殺し、フラッシュドライブを回収した。しかし、ベアトリスは13歳の少女であり、殺すことができなかった。アレックスはボーデンに契約の中止を要求し、ベアトリスに何かあれば殺すと脅迫するも、翌朝ベアトリスは額を撃ち抜かれた死体として発見された。マウリシオがアレックスの代わりに殺していた。アレックスはベアトリスの復讐、さらには売春の関係者への報復に打って出た。マウリシオ、ボーデン、ランディを殺し、黒幕のダヴァナにまで迫る。
FBIのヴィンセント、リンダはメキシコ警察のウーゴと協力して連続する少女の失踪事件を追っていた。巨費を投じて迫った証言者のベアトリスとその父は死に、公式には捜査チームは解散させられた。そんな中、相次ぐ殺人事件の犯人と思しきアレックスという男の電話を受け、一連の事件は移民の少女の売春事件と繋がっていることを示唆される。アレックスを追う3人だったが、アレックスはダヴァナを襲撃した際についにエルパソの警察により逮捕される。負傷して病院に運び込まれたアレックスは、ヴィンセントらに3つのフラッシュドライブの内2つを託したが、あと1つをどこかに隠したきり隠し場所を忘れていた。残りのフラッシュドライブにはダヴァナの関与の証拠となる電話音声が記録されているとのことで、FBIの上層部はヴィンセントにそのフラッシュドライブを見つけられればダヴァナを立件すると口約束した。その実、圧倒的な資金力を持つダヴァナを立件する気などなかった。
ある夜、アレックスが医師を人質に取る暴動が発生する。医師はダヴァナの命令でアレックスの暗殺に来ていて、ダヴァナに鉄槌を下したいアレックスは彼を返り討ちにして人質に取り、ヴィンセントとの会話を要求した。これまでの死闘の末、正義が保証されないことをヴィンセントから聞かされたアレックスは、混濁する記憶で妄言のような言葉を言い残してヴィンセントの傍を去ると、狙撃犯に射殺された。

アレックスの最期の妄言「BERY」は、彼の生家のパン屋(BAKERY)の看板からAとKが崩れ落ちたものを指していた。それに気づいたヴィンセントは、アレックスが隠した最後のフラッシュドライブを発見する。
証拠は揃ったが、FBIの上層部は参考人のアレックスが死亡したことを理由にダヴァナを立件しなかった。ついにダヴァナは野放しとなった。
ウーゴはメキシコへ帰国、リンダは異動、ヴィンセントは上に楯突いたことで停職となった。リンダはヴィンセントをバーに誘い出した。一方、自宅の庭で一人でワインを飲んでいたダヴァナが覆面の男に喉を切り裂かれて殺された。バーのテレビにそのニュースが流れると、ヴィンセントはリンダが自分のためにアリバイを作ってくれていたことに気がついた。覆面の男が淡々と証拠を処分していく。覆面を脱ぎ捨てると、その正体はウーゴだった。一通り衣服や凶器を処分すると、彼は車で走り去って行った。


まあ要は、司法の機能不全で正義が下されないなら俺なりのやりかたで下したる、的なやつか。王道。すなわち好き。

このヴィンセント・セラも何やら複雑な事情を抱えていたらしい。
妻と息子が遊園地に行った帰りに高速道路でタイヤがパンクして路肩に停めていたところに、酔っ払いジャンキーが盗難車をかっ飛ばしてきた勢いで突っ込んで、タイヤ交換をしていた妻が死亡。車から飛び出て助けを求めた息子を今度は車をバックさせて轢き殺したのだと。その後そいつが車を燃やすところを少女が目撃するも、記憶が曖昧ゆえ面通しでそいつを指し示すことができなくて無罪放免。

本作の諸々の事件はどうか。アレックス・ルイスがやった警官含む殺しの数々とか殺人未遂は余裕で立件できるんだろうけど、売春云々の方はどうだろう。
俺は法律云々のことはからっきし(ましてやアメリカの司法なんて)なので詳しいことは知らんけど、ダヴァナは手錠をかけられることすら一度もなかった。アレックスが証人になると名乗り出てはみたけど、アルツハイマーの人が証人になってもしゃーないとか、そもそも殺し屋が信用されないだろみたいな話になってたっけか。
録音のデータが出てきたら、その時はその時で今度はアレックスが死んだからどうしようもないとかなんとか。実際でもそういうもんなの?

実際でもそういうもんなのかはさておいて、本作では司法の機能が証人の記憶の上に立脚していたなっていう印象。何か良くないことが起こって、その当事者として正しく記憶している人がいて、なおかつ正しくその記憶を共有してくれて、それで初めて良くない度合いが判断されて正義が下されるようなかんじ。記憶に障害を持っていたり死んでいたりしたら1つ目がクリアできなくて、仮に生きてて記憶がクリアでも反社的な人間だったら2つ目を保証できない。

それでいいんだろうか。例えば仮に、俺が誰かを殺してその次の瞬間に俺からも目撃者からもその記憶が消えてしかも殺された人が存在した記憶とか証拠すら世界から消え失せたら俺は無罪放免でいいか、みたいなことを言い出したらややこしい気がするけど、そんな超常的な話じゃなくて、ある人によって何か悪しきこと(=法を破る行為)が行われたことを知っている人がいて、その知っている人の記憶が何らかの事情でこの世から消え失せたら、「ある人」ってヤツはお咎めなしでいいんだろうか。
当たり前にそんなわけないんだよな。記憶がないだけで事実はあるんだから。そんなわけないけどどうにもできなかったのが本作で、その結果別の悪しきことで以って咎めましたと。
治安の悪いこと悪いこと。ダヴァナを殺したウーゴは、かつて彼が少女の失踪事件を追った末に見せしめと言わんばかりにさらに5人殺されて吊るされたことがあったから(それであの聖なんとかの首飾りを6つぶら下げるようにしたから)黒幕のダヴァナに死刑を下したけど、これが例えば個人的な恨みがそんなにないリンダだったらそこまでやっただろうか。あともしダヴァナにランディの他に近親者がいたら、その人がまたダヴァナを殺した者を"咎め"ようとしてただろうな。何より厄介なことに、アレックスもウーゴも必要悪とか正義だと思ってやってる。キリがないし個人の裁量に依りすぎる。まあだから法ってのがあるんだろうけど、正しく運用できないとおっかないっすね。小並


それにしても、弾丸が貫通した腹を直火で処置するやつ久々に見た。ランボーがアフガニスタンの洞窟でやってたの以来かも。
ニーソンの叔父貴、やっぱ腹出てても戦闘かっけえなあ。70歳かー。サイレンサー付けた銃があんなに似合う爺さん他にいないて。てか今ググって知ったけど『エクスペンダブルズ』の4作目に出るんだ。がんばってなー。
じゅ

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