おでい

“それ”がいる森のおでいのネタバレレビュー・内容・結末

“それ”がいる森(2022年製作の映画)
1.8

このレビューはネタバレを含みます

千貫森が映っていた事やエンディングから、UFOで町おこしをしている福島県の事を題材に作られた作品でしょう。

各所ではホラー映画とジャンル分けされているようなので、タイトルからも森系心霊ホラーのように騙されて見る人が多いと思われますが、実際にはUFOもののSF映画。

一番驚きなのはこの映画が2022年の映画だってこと。
演技もシチュエーションもストーリーも題材も昭和で、完全に出演者の株を下げています。

申し訳ない言い方ですか、これを作った人達は海外の映画見たことあるんでしょうかって思うレベル。

特にカット割りの雑さと部屋のシーンでの手持ちカメラによるブレすぎた映像が気になりました。

冒頭5分のシーンからダメだって決定づけられていて、学芸会レベルの粘液、雑に飛んでくる腕、作り物にしか見えない腕、緊迫感のない女性の逃走。
1981年作の死霊のはらわたでは、カメラワークだけで、あれだけの森から迫る悪霊とそれに追いかけられる女性をこれでもかと描けているのに、いまだにこの程度しか撮れない日本映画って何なんでしょうか。

だいたい最初のシーンのカップルは強盗犯にする必要あったのかなと。
例えば山にハイキングに行っているとかの設定でも良かったし、後の現金のバッグを発見されるあたりもこじつけがましい感じで。
男の遺体発見シーンも、あれだけの物見てるのにすぐに気持ち切り替えられて穴に注目するとかドライすぎ。

小学生たちはまさに昭和のドラマの世界。
不自然な演技とセリフ、都会っ子を邪険に思うクラスメイト、そんな主人公に寄り添うぽっちゃり友達。
安定のパワハラ教頭と気の弱い女性担任。
今どき無さすぎな設定すぎます。

家族関係も変態的で、嫁さんの父に嫌われたからって、夫は子供を見捨ててでも田舎に行って農業して3年も子供に会ってないとかおかしすぎでしょ。
こんな家族滅多にないし、洋画みたいに離婚して別居してるの方が最後にはまた復縁してってストーリーに繋げられるし、なんなら元々田舎に住んでいて、妻の仕事の関係で都会に出ていったの設定の方がまだ自然だったのでは?
とにかく回想のシーンはあったものの、義理の父との関係は深堀りされていない事もあって、父子の関係性なんかに関しても感情移入を妨害しています。

ちなみに途中で採取していた宇宙人の粘液を調べるってシーン、あれどうなったんでしょう?
あのシーンめっちゃ大切なシーンだと思うんですよ。
これを大学に持って行って、未知の物質だ!ってシーンやっぱり必要だと思うのに、それ飛ばして果物の細菌で攻撃できるぞ!ってなったのは残念。

宇宙人の下手なCGもどうでしょう?
日本の技術ってまだあんなもん?
もしこれが限界だったとしたら完全に30年出遅れてますよ。

トドメはラストシーン。
あのUFOいる?
最後の最後にチープな宇宙人CG忘れかけていたのに、もっとチープなUFOのCG見せられるという会心の一撃。

この映画、UFO愛好家の人とかは多分好きなんだろうなと思います。
なんとなく。

もしこの映画が全体的にブルーがかったフィルターで処理されていて、少し古い感じに演出していたら逆に面白かったかも。

とにかく日本の映画がある時代で止まってしまって成長出来ていない事を思い知らされる作品でした。