柿トマト

ザリガニの鳴くところの柿トマトのレビュー・感想・評価

ザリガニの鳴くところ(2022年製作の映画)
2.0
アメリカのベストセラー小説が原作のミステリー映画。本国では2019、20年連続で「その年に1番売れた本」ということで、それがこの作品の売り文句だ。

それに女優のリース・ウィザースプーン(「キューティ・ブロンド」「ウォーク・ザ・ライン/君につづく道」)が原作に惚れ込みプロデューサーに名乗りをあげたり、テイラー・スウィフトが本作のために曲を書き下ろしてくれたりと、まさに小説愛に溢れたスタッフ、キャストであることは簡単に想像できることだろう。また日本でも本屋大賞に輝くなど、国籍問わず人気振りも伺える。

自分は原作未読なので、そう言う周りの評価を聞く限り期待したし、予告映像見る限り悪くなさそうな雰囲気は見て取れた。

…本作を見るまでは。

結論からいうとモヤモヤするというか、正直、納得しきれてない部分もあるので、原作が好きで、本作を期待されてる方はこのレビュー(というよりただの感想、愚痴と思っていただきたい)を読まないようにしてもらえると助かる。










あらすじは


ノースカロライナの湿地帯で発見された青年の死体。それは将来有望だったチェイスのものだった。殺人か、事故か…。警察は捜査を進めるなか、その湿地帯に1人で暮らす少女・カイアを容疑者として勾留。カイアは裁判を受けながら、幼きころ家族が離散したこと、湿地帯に訪れた青年・テイトに出会って恋に落ちたことなど、自身の半生を回想していく…というストーリー。

まず、率直な感想をいわせてもらうと「ちゃんとミステリーを画で描けよ」ということに尽きる。これは映像作品なのだから、殺人事件の全容を映像として入れないのは、ものすごく肩透かしな気分になる。最後の最後に、あるものが出てきて「それでも全部見せないこの映画、オシャレでしょ~?」みたいな語り口が大嫌い。小説ではどのように表現されているのかは知らないが、映画は観客を説得する画を見せないといかんでしょ。ちゃんと観客を説得して下さい。

あと公式HPでテイトのこと「心優しきひとりの青年」って表現してるけど、こいつ全然優しくないやろ。…ちょっとクズじゃないか?原作ではちゃんとフォローあるわけ?この本が売れた理由って男って悪い生き物だけど、イケメンなら何されてもキュンキュンしちゃうってとこ?ヒロインの心が分からないから途中からキツくなってきた。

…と、文句を言ってきたが、新しい俳優陣にはこれからも活躍を期待できるし、何より舞台である湿地帯が美しくて引き込まれる。オープニングの上空から見下ろしたシーンの美しさや、カイアとテイトがお互いに気持ちを確認したところで無数の鳥が祝福してくれているような場面も幻想的で素晴らしい。

総じて、ミステリーとしては1点、それ以外は4点といった感想だった。
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