ジェイティー

ザリガニの鳴くところのジェイティーのレビュー・感想・評価

ザリガニの鳴くところ(2022年製作の映画)
3.6
1960年代のノースカロライナ、家族散り散りとなり湿地帯で孤独に暮らす女性カイアに街の有力者の息子チェイスの殺害容疑が掛かる、かねてより街のつまはじき者であったが、理解ある心優しい弁護士トムが弁護のためにこれまでの事を話してほしいとお願いをするとカイアは過酷な半生を語り始めるお話。

去年ベストセラーとなった原作の初実写化作品
本に疎い為知りませんでしたがタイトルに惹かれて鑑賞しました。

予備知識なく行ったので最初は淡々として静かな文芸作品系かと思っておりましたが、展開早めのエンタメ系作品だったのは驚きでした
広大で美しい湿地帯と夕日の情景がとにかく素敵でしたね、ちょっとだけ行ってみたくなるのは僕が表面的な見方をしたからなのでしょう
実際のところ本編でも誰も本当の彼女を捉える事が出来なかったと思いますしカイアも自分に関わる人には湿地の自然同様にそこに善悪などなく接したのだと思います。

本作品のストーリーラインはこれまで何べんも観てきたものでしたので結末も驚きはありませんでしたが、一つ違うのは不思議と邪悪さを感じなかったことですね、これは上でも書いている通りカイアが湿地の世界そのものになっているからそう感じたのでしょう。
あまりリアリズムのないところは恐らく意図的で本作品を寓話のようにしているのは自然や主人公の美しさ(こんなところにルックスまで可愛く美しい娘はいないだろうし)、心優しい弁護士や商品店の黒人夫妻の存在、そしてそもそも殺人について可能か否かなどすべてがそう思える演出をしていたように思います。

とはいえ、メイベルやジャンピン夫妻の優しさには普通にうるうるしてましたし、デヴィッド・ストラザーンの優しい弁護士トムさんも素敵でしたね(ボーンシリーズの非情っぷりとは正反対)こういう人たちは大好きです。
かったるいシーンもなくきちんと面白い作品ではあったので、是非週末デートのお供にどうぞ。