ラピュタん

ザリガニの鳴くところのラピュタんのレビュー・感想・評価

ザリガニの鳴くところ(2022年製作の映画)
4.2
主人公と湿地の美しさ際立つ
孤独についての斬新な切り口

大ベストセラーとなった小説を70歳❕で書いたのは、動物行動学者のD・オーウェンズ女史で、湿地の保全活動にも取り組んできた人物ゆえ、湿地帯の生態を知りぬいていました
人物造形も、ヒトの行動&習性への鋭い分析に支えられていたように感じました
つまり、ヒトという動物の欠点と美点(人間性)そしてその自然性を、均しく見つめている動物行動学者ならではの視点が、この作品の土台になっています🥚🦆🦢

映像化の魅力は、少女を包むように育んだ湿地の豊かさを視覚化してくれたことでしょう
彼女は決して野人のように育ったのではなく、出会いと、小さな食料品店を細々と営む夫妻の愛情などに支えられていました

劇中、七つの疑問への答えが提示されます
1️⃣ 読み書きはどうしたのか
2️⃣ 自力でどう食いつなぐのか
3️⃣ 湿地の魅力とは何処にあるのか
4️⃣ 孤独による害毒からどう逃れたのか
5️⃣ 母親は我が子を残して行ったのか
6️⃣ 暮らす上での最大の脅威は何か
7️⃣ 事件の真相はなにか

パズルのピース🧩を一つずつ探して、
それを組合わせる楽しみがあります
ネタバレは厳禁、お楽しみに!

原作を読みたくなる、さらに細部を味わいたくなる作品でした🌼

孤独を感じる青年には取り分け響くのでは
カップルにも好適でしょう

⭐️最初のキスシーンの美
 あまりに美しくて自然に涙が…
⭐️D・ストラザーンで魅力倍増
 無私の優しさをとても自然に感じさせる名優ですよね(弁護士役)
⭐️耽美に陥らない美しさ
 美しい木々が出てきます
 美しい主人公の美しい生き方も
⭐️物質的でない生き方に関する詩篇とも
⭐️ ヒロインの生き方を追う楽しさ
 彼女の受けるさまざまな光の温もりを
 感じられる作品でした🌼
⭐️自然の中で暮らす……って?
 すごく厳しい環境だと思うんですが、
 意外にも湿地の豊かさはそれを可能にする包容力を持つのだろうって思いました
⭐️著者曰く
 「いざという時、人間には問題を解決する力と、治癒力が備わっているのです」
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