ザリガニの鳴くところのICHIのネタバレレビュー・内容・結末

湿地帯の空気感がなんとも素晴らしい。父親の暴力で家族が離散し一人ぼっちになった少女が湿地の中で周囲の差別と偏見にさらされながら成長する。そんな中、彼女に寄り添い支える雑貨店の黒人夫婦や弁護士の存在が心に沁みる。殺人の嫌疑をかけられ、その裁判と彼女の生い立ちが同時進行する構成もいいのだが、無罪となった彼女が結婚して新しい暮らしを始めるところで終わるかと思いきや、年老いた夫婦に一瞬でもにして移り変わりのが映画的な呼吸で、かつて彼女を置いて去った母が現れ少女だった彼女が映し出された瞬間に涙腺ゆるゆるになった。そしてラストで彼女の隠していた秘密が明らかなった時、生き物には善とか悪はなくただ懸命に生きているという彼女の言葉が蘇り、彼女が湿地と一体化して映画は終わる。
4.5をつけようと思ったが、エンディングに流れる、80年代のペラペラな日本映画みたいな説明的な歌詞のテーマ曲でマイナス0.3。