クラレンス

ザリガニの鳴くところのクラレンスのネタバレレビュー・内容・結末

ザリガニの鳴くところ(2022年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

犯行シーンを描かないことで鑑賞後も様々な憶測ができる素晴らしい作品だった

以下は私なりの解釈でネタバレを含む

真実を理解するには彼女の気持ちにならないと見えてこないが、男の私には理解できないだろうし、女性でも理解しきれない部分があるはずだ。

なぜなら彼女は人間の価値観ではなく、自然界の価値観で生きていた、からである。

幼少期から1人で湿地帯で暮らしてきた彼女にとって「安全に生き延びること」は野生の本能である。

生物界で「安全に生き延びる」ということは、自分の住処(彼女の場合は自分の家)で敵がいない状態で暮らすということ。つまり牢屋で過ごすことは生き延びたと言えない。

では、完璧なアリバイをどう作るか?

カイヤは湿地帯を熟知していた、そしてボートを操ることにも慣れていた。つまり、潮の満干や流れを利用すればアリバイは作れる。

では、どうやって殺したのか?
考えられるアプローチは2つ

1. 背後から頭部を石で撲殺
2. 火櫓の床穴に落ちるように誘導

指紋が見つからなかったので1だけの可能性が高いと考えるがそれはたいして重要なことではない。

非力な彼女は石で攻撃する習慣がある。ホタルのようにチェイスを誘い込み、背後から石で頭を殴りつけたら、火櫓の穴から落とすことも、事故のように見せることもできる。証拠隠滅のためカマキリのように頭を切り落としていても不思議ではないがこの時代背景ならその必要はなかったのかもしれない。

ただ、いずれにしても腑に落ちないことがある。それは彼女が子を宿さなかった理由。

自然界に倣うのであれば「子孫を残す」はずである。むしろ生き延びることよりも、優秀な子孫を残すためチェイスを殺害した、という動機にもなりえる。なぜ?の答えがあるとしたら、テイトは生殖器に何かしら問題があったのかもしれない。それを匂わせるシーンもある。

折を見て原作も読もうと思い、作者を調べたところ、生物学者の70代女性だという。さらにその顔写真を見つけた瞬間、最も恐ろしい推理が浮かんでしまった、、

この話はカイヤではなく、作者の半生なのではないかと、、