ぼっちザうぉっちゃー

ザリガニの鳴くところのぼっちザうぉっちゃーのネタバレレビュー・内容・結末

ザリガニの鳴くところ(2022年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

涼しく湿った空気感と、水と緑、光や風、写実的な風景の描写が印象的だった。と同時に、ガラスの箱入り娘と流転する自然の景色はどこか幽世的な幻想世界のようでもあり、不思議な雰囲気を醸していた。

内容としては謎解きのサスペンスというより、一人の女性が送った人生の回顧録みたいな進行で、まさしくそのザリガニが鳴くところへと視点が癒着させられることによって真実は最後まで隠匿される。
なんとなく真相が分かってからは、芋臭い主人公が事あるごとに魅せる乙女らしい衣装替えやメイクアップから、自然界における擬態のような計算高さが窺えるような気がして少し慄いた。
愛に対する飢えと執着が彼女を強かにし、ある種良くも悪くも母よりも上手く生きていく術を得とくしたように思えた。

穏やかさの裏に寂しさと孤高の強さを秘めたようなエンディングが蠱惑的で良かった。