Larx0517

ザリガニの鳴くところのLarx0517のレビュー・感想・評価

ザリガニの鳴くところ(2022年製作の映画)
3.9
テイラー・スウィフトが歌う”カロライナ”。
それが流れる時、”真実”を知った者は、言葉を失う。

「危ない時はザリガニの鳴くところまで逃げろ」

ディーリア・オーウェンズの、処女作にしてベストセラー小説の映像化。

今作に彼女はカメオ出演している。
1:19頃からの、法廷でのチェイスの母親の証言のシーン。
最前列の傍聴席、弁護士トムの後ろ辺りの、ダークヘアの女性が彼女。

映画の前半、美しい光景と恋愛は、ニコラス・パークス原作映画を彷彿とさせる。
しかし今作がパークス原作の映画と違うのは、まずこれだけのベストセラーの映画化なのに、監督をはじめ俳優陣もほぼ無名のキャスティングだということ。
個人的に好ましく、効果を発揮していると思う。

そしてなにより今作のすごいところは、ミステリーとしてもオリジナルあふれるところだ。
といってもトリックや、いわゆる”伏線の回収”に驚愕するのでもない。
ミステリーとして一級品ではなく、”オリジナル”。
だからこそ、最後に”つながり”を知った者は言葉を失う。
こればかりは見た者にしか分からない。

その”驚き”をSNSで拡散したくない。
ただ自分の心の水底に、ひそやかに沈めておきたい。

「砂にしみこむ水と同じ
深みに潜む」


好きな人のシャツの匂いをかぐのは、本能的なものだろうか?
誰に教わった訳でも、誰かがやっているのを見た訳でもないのに。
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