アマプラ。23-130。なぎちゃんと、ホラーを見ようと迷いながらたどりついたのがこれ。ホラーかと言われると違うかもしれないけれど、それはそれでおもしろかった。
ようするにミステリーを装いながら「湿地の女」の生い立ちを描いてゆき、ミステリーらしく法廷シーンに至る。それはそれでよくできているのだけど、あの肩透かし気味の無罪宣告におやっと思い、嫌な予感を抱えたまま幸せな描写を見せられてゆくなか、おいおい大丈夫かと思ったけど、そこはきちんと回収される。たしかに評判になるのがわかる。
ただし、それは予想された回収。問われているのはその先。すなわち、ぼくら人間の差別意識とか共同体のエティカなんてものの、はるか以前のところにあるエソロジーなのだ。鳴かないザリガニが鳴くような沼地の奥深くに踏み込んでゆくとき、そこには思いがけない掟が姿を現す。
湿地がよい。舞台はノースカロライナ州の湿地とのことだが、モデルはディズマル湿地らしい。その湿地をカメラがゆく。カメラに導かれてぼくらの眼差しも彷徨いはじめると、あの亡霊たちの姿とともに暴かれた摂理に慄くことになる。
ホラーじゃないけど、やっぱりホラーだったのかも。なにせ、人間が自分以外の生き物とのあいだに引く境界のあわいに立ち上がるものを目撃させてくれるのだから。