コロナを機に関東、関西の友人たちとオンラインで上映会のち盃を交わしながら語り合うってのを月イチで初めて早4年。
いまだにオンライン飲み会やってるのはまずまずの絶滅危惧種😆
どんなに多忙であってもこれだけは欠かさず参加しているものの、レビューが溜まっているのでしばらく連投いたします。
さて、不思議なタイトルとジャケ写でタイムラインにもよく上がっていた本作。
ホラーなのかファンタジーなのか、検討もつかないまま予備知識ゼロにて鑑賞した。
もちろん原作も未読。
ミステリー、恋愛、法廷もの、ネグレクト、あらゆる要素をごちゃ混ぜにしていながら、湿地帯という独特な世界観をベースにしているのがとてもユニークで惹かれる。
湿地の娘という特異なキャラクターだけに、それを体現する容姿や演技力が試されてしまう訳だけれど、デイジー・エドガー=ジョーンズという気鋭のイングランド女優は見事だった。
プロデュースと主題歌のテイラースウィフトを始めとして監督も脚本もカメラも女性。もちろん原作も。クズ男の描き方が見事なのが笑える。けれどちょっとここはやりすぎ減点対象かな。エンタメとしてはわかりやすいし、60年代ならこんなもんかとも思うけれど。
ネタバレ禁止案件なので以下要点のみ。
ラストの事件解明へと至る伏線が巧妙に張り巡らされており…いや、違うな。ことごとくミスリードを誘っているということか。
街の人々の偏見、そしていかにも正義という風情で見守る腕利きの弁護士、この対立軸に観客は終始翻弄される。
映画に出てくる世間の偏見が強ければ強いほど、「見ている自分こそは正義だ」と信じているボクたち観客は、明らかに逆の目を持ってこの法廷の行方を見守っている。それこそが偏見だと気づかずに。
ザリガニの鳴くところで自然と共鳴する少女は、出版社との会食でこう語る。
「自然には善悪は無いのかも。すべては生きるため。」
湿地で育った娘は、自然の中に生きる摂理を学び、実践した。ただそれだけ。
先述の通りこの映画がほぼ女性たちだけで作られていることも、男性であるボクにすればもちろん偏見の1つに含まれるのだけれど。
ボクたちの持つ正義、善悪の物差し、偏見。それらを湿地に住まう彼女は嘲笑う。
男性にとっては心を揺さぶられる、痛みを伴わずにいられない映画だった。好き。