ケジメピザ

ザリガニの鳴くところのケジメピザのレビュー・感想・評価

ザリガニの鳴くところ(2022年製作の映画)
4.0
主体性の進化論

とにかく 脚本が丁寧で見事
物語のテーマを描くだけでなく それを伝える力と説得力の凄さ
きっと原作では さらに丁寧に描写されているであろう事が想像できる

ベースはとある湿地帯で生まれた 主人公カイア(デイジー・エドガー・ジョーンズ)の成長の物語である

その主人公の成長の過程を 自然界の摂理に準えて 丁寧にゆっくりと描いた脚本が実に見事

先代である母は 父の侵略を受けて「逃避」を選択
同世代の兄弟たちもそれに倣うが 残された末っ子のカイアは「維持」を選択
その後 侵略者たる父自身が「逃避」を選択
カイアは他の兄弟たちのように「逃避・移住」を選択する事なく「定住」を決意する

だが 動物が自分の縄張りを維持するのは容易ではない
毎年「一年間」の繰り返しでなく 時折「外敵」の襲来により 自らの存在や住処を脅かされる

それでも カイアは「逃避」する事なく 懸命に戦いながらも住処を「死守」する
コレは 自らの存在と生命を守るために「逃避・移住」を選択した母親世代と比較して「強化・進化」とも言える

結果 カイアは自らの住処で 天寿を全う出来る
晩年 穏やかで順調に見えたカイアの半生であったが それは彼女が人生と命を懸けて戦い そして勝ち取った物であった事が証明される

カイアがそこまでして守りたかった場所
それが「ザリガニの鳴くところ」
ケジメピザ

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