Renoto

ザリガニの鳴くところのRenotoのネタバレレビュー・内容・結末

ザリガニの鳴くところ(2022年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

友人に薦められ、予備知識なしで鑑賞。
まず映像の美しさに息を呑む。
ある種の神聖さを醸す湿地帯という世界で、孤独な半生を過ごしてきた少女。
自然界に生きる動植物を観察し、描き、生活の糧を得て、たった一人で生きてきた少女は
自立と自律…どちらの意味でも逞しい。けれど長い間、家族の帰りを待ち続けた彼女にとって、人の温もりは生きる悦びだったはず。テイトが戻らなかった朝、再び孤独に引き戻されてゆく彼女の嘆きは「失恋」という言葉で片付けてはいけない気がして、なんとも切なかった。

湿地にいる時のたおやかで無垢な顔と自衛のための攻撃性、凶暴性をしっかり描いてるので、結末を予測できた人も多いと思う。弁護士の最終弁論は、他者との距離が遠くなりつつある現代へのアンチテーゼのようでもあり、民意の危うさを感じさせられた。

主演のデイジー・エドガー=ジョーンズは、この難しい役を演じきっていて、とても美しいなーと思いつつ、彼女と恋に落ちる二人の男性がたまに見分けられず…少々混乱(笑)。
原作を読んでみたい。
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