Roxy

ザリガニの鳴くところのRoxyのレビュー・感想・評価

ザリガニの鳴くところ(2022年製作の映画)
5.0
あっぱれな一生

ラストにどんでん返しはありましたが、至極全うな気もしました。行き違いがあれど両親に棄てられ、兄弟姉妹も去り、児童福祉の世話にもならず幼少時から自活してきた人間に、人の道やら道徳を解いたところで飯の種にもなりません。元野良の我が家の猫を見ていてもつくづく感じます。動物はすべからく自分ファースト。自分の根城を侵すものは徹底的に攻撃し、発情すればフェロモンを撒き散らして複数の異性と交わる。全ては与えられた生を全うするため。主人公カイアの生き様に拍手を送りたい。

映画鑑賞後、海外の記事を見て驚いたのですが、原作者のディリア・オーウェンスさんは、同じく動物学者の旦那さんと南アフリカに在住中、密猟者を私刑に処していた容疑で夫婦共に取り調べを受けていたそうです。命を蹂躙する者には死をもって贖わせるという思想を感じました。
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