あき

ロストケアのあきのレビュー・感想・評価

ロストケア(2023年製作の映画)
5.0
“堕ちたことのない人が、安全地帯から綺麗事を言うな“
先日観た「茶飲友達」もまさにそうであった。
堕ちたくなくても、はまりこんでしまった者たちの心の叫び。そして現実に目の前にある地獄。
絆は、呪縛でもある。そこからの解放。
国家による死刑と、堕ちた者たちを救うべくもたらす死。
どちらも正義からくるものだが一方は正当なものとして執行され、もう一方は罪となり罰せられる。
ラストの長澤まさみと松山ケンイチの面会は「三度目の殺人」(2017)を彷彿とさせるが、
ここでは立場は違えど長澤まさみも松山ケンイチも結局は同じなのだという象徴のようなガラス越しの反射と重複。
ふたりのアップのシーンが多い中で、ふたりの鬼気迫る迫真の演技で、それが余計に心に訴えかけてくる。
どちらにも感情移入しすぎて、人目も憚らず涙が次から次へと溢れて止められなかった。
あき

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