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ロストケアのmakoのレビュー・感想・評価

ロストケア(2023年製作の映画)
3.9
《救ったのか 殺したのか》
◎78点

原作: 葉真中顕の同名小説。
未読です。
監督: 前田哲(『そして、バトンは渡された』『こんな夜更けにバナナかよ』)。

日本では、65歳以上の高齢者が人口の3割近くを占め、介護を巡る事件は後を絶たない。
この問題に鋭く切り込んだ葉真中顕の第16回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作を映画化。

介護を巡る問題をリアルに描いていて見応えがありました。
家族だから面倒をみなきゃいけない、という世間の目。
生活と介護の両立の厳しさ、孤立、貧困(介護、高齢者)、介護される側の辛さも描写されていて考えさせられました。

正論で人は救えない、安全地帯にいる人には分からない、という台詞が印象的でした。

斯波(しば・松山ケンイチ)が施設でやったことは自己満で許されないが、父親(柄本明)の辛い病状や自身の精神的・肉体的な限界でやった行為は責められないと思った。

もっと介護者に手厚い政策があればいいのだけど、今の政治は弱者にとことん厳しい。
生活保護を受けたくても窓口ではねられる。
働けるだろうと簡単に言うが、働けるなら最初から生活保護は受けないよ。
どうしようもないから来てるのに、それを撥ねつける。

考えさせられる映画で良かったけど、不満な所が2箇所。
そのせいで冷めたから減点しこのスコアに。
不満な所は、斯波を慕う施設の後輩女性。
①斯波が逮捕された時、その後輩の取り乱し方。オーバーアクションで鼻についた。
②その後の後輩の闇堕ち。
この描写は要らないと思う。
邦画の悪い所が出てた。

柄本明さんの演技は素晴らしかった✨ というか、いつも同じ事を書いてる気がする😁
本作の演技はずば抜けて良かったです。
あと、綾戸智恵さんが出演されてたけど最初気づかなかった😅
『そんな夜更けに~』の繋がりで出演されたのかな。




観客 15人くらい
劇場鑑賞 #38
2023 #40
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