ひろさん

ロストケアのひろさんのレビュー・感想・評価

ロストケア(2023年製作の映画)
4.5
ロストケアという題名の深い意味を映画の中で知ることになった。
父親の介護のために仕事を辞めて生活保護を申請するが受け付けられなかった過去を持つ主人公の斯波宗典(シバムネノリ·松山ケンイチ)。
殺人犯として捕まった斯波と検察官である大友秀美(長澤まさみ)との対話劇は緊迫感があった。
「個人が人を殺せば犯罪として裁かれ、国家は死刑により人を殺す」というテーマは、映画「ある男」やその原作を書いた平野啓一郎の死刑に対する問いと同じである。
法廷で斯波が自分の行為の正当性を述べた後で、「父を返せ」と叫んだ遺族が法廷から連れ出されるが、直後に「ケアしてくれてありがとう」と言う遺族を対峙させてもいいと思った。
観た人それぞれが自分の置かれた環境で考えさせられる作品だった。
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