ヨンっ

ロストケアのヨンっのレビュー・感想・評価

ロストケア(2023年製作の映画)
-
24歳、父も母もまだ働けている、元気なばあちゃんが一人。まだ自分には共感できる部分が少ない話だったけど、映画中何度も親が介護が必要になる時の姿を想像した。

斯波がした事実だけを見ると、狂った大犯罪にしか思えないけれども、彼の言うことを何も否定できない。
親の介護中に揺れ動く愛情と憎しみが、子の体も心も壊していく。「絆は呪縛」まさにその通りだなと思う。子供の頃育ててくれた親への感謝の気持ちもある、しかし、親は子の心が壊れるほどに自分を介護してくれる事を喜んでくれるのか。だからと言って自分の手では終わらせる事はできない、本当は誰かに終わらせて欲しい、そう思ってしまうのかもしれない。

介護施設に預ける事ができれば誰もがそうさせたいのかもしれない。しかし、金銭的な面や、そもそも介護士が足りていない理由で全員が預ける事ができないのが現状だろう。
バイトの求人をたまに見たりするが介護のバイトがやけに多い、資格なしであったり未経験者でも応募する事ができるのも多い。それほどに人が足りてなく、自宅で介護せざるを得ない社会であるのも現実。

自分では救えない、法や社会も救ってくれない、救ってくれるその誰かになろうとした斯波を否定するのは難しい。
実際には殺された家族の中にはそんなことして欲しくなかった人もいて、そこの判断を個人で行い黙って決行することは間違っているのだとは思う。

最後のエンドロールで流れる子供の映像、あれはズルい…こんなに可愛い自分の子供が、自分を殺さなくちゃいけない程に、自分が追い詰めると思うと、辛くて生きていけない。
ヨンっ

ヨンっ