『ファーザー』と同じ原作戯曲、そして『髪結いの亭主』のジャン・ロシュフォールの遺作となった作品。
決して綺麗事では無い事がよくわかる。認知症を疑似体験する意味では今作も良く出来ていると思う。
幼い頃とか、幸せな思い出はずっと記憶として残り続けフラッシュバックを繰り返すけれど、特に不幸な出来事、認めたくない事実は上書きされないのは、自己防衛本能がそうさせるんだろうなぁ…
主人公クロードの原色のセーターをはじめお洒落ファッションが視覚をワクワクさせるし車も可愛い。ちょっと下品な下ネタもフランスっぽい。笑
ただ、フロリダからの施設への扉は切なかったなぁ…
『ファーザー』のアンソニー・ホプキンスが、いかに素晴らしかったかを再確認させられるし、概ね認知症の疑似体験的な部分が大きかったそれと比べると、ややソフトなイメージ。そしてヒューマン要素も含めて俯瞰で捉えられる部分が多めな分見易い印象も受けた。
何れにしても今や避けては通れない認知症について改めて考えさせられる。そして介護する側には役立つ知識となるかも知れないし、覚悟の部分でも同じ。ただ、悲しいかな自分自身がそうなった時を想像するとやっぱり複雑だし、切実な問題である事は確か。